暴動やテロ対策の海外旅行保険は、クレカ付帯のもので大丈夫?
2015年11月13日に起きた、パリの連続テロ。
今後、フランスだけではなく、海外へ行く人にとっては、
「自分もテロに遭うかもしれない」ということは、心配なことの一つですよね。
で、ふと、
「あれ?テロとか暴動って、
カード付帯の海外旅行保険でカバーされるんだったっけ?」
と疑問に思ったので、調べてみました。
※ここで言っている「カバーされるかどうか」の内容は、テロでのケガや死亡、持ち物の破損に関してです。旅行のキャンセル費用は含めてませんのでご注意を。
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「戦争、その他の変乱」は保険は無効
クレジットカード各社のサイトの、保険金をお支払いできない主な例を見てみると、こう書いてあります。
保険金が支払われない例
- 楽天カード 「戦争・暴動その他の変乱」
- エポスカード 「戦争その他の変乱」
- JCBカード 「戦争、その他の変乱」
- ジャックスカード 「戦争等変乱」
- アメックス 「戦争、その他の変乱」
- ダイナース 「戦争、その他の変乱(テロ行為は除きます。)」
つまり、
●戦争:保険ダメ。
●その他の変乱:
保険ダメなのはわかったが、
何が「変乱」に当たるのかが不明。
●暴動:
楽天カード(三井住友海上)ではダメ。
その他の保険会社では不明。
ということがわかりました。
じゃあ、テロはどうなんでしょうか?
テロによる被害は保険OK!
ダイナースカードには、ハッキリと、テロ被害は保険金を支払うことが書いてありましたが、その他のカード会社は不明だったので、電話で聞いてみました。
結論から言うと、
テロ被害はカード付帯保険でカバーされます。
(一般の有料海外旅行保険でもカバーされます)
- 楽天カード(引受保険会社:三井住友海上)
- アメックス(引受保険会社:損保ジャパン日本興亜)
- ダイナース(引受保険会社:東京海上日動)
以上3つのカードで問合せてみましたが、
全て「テロ被害はカバーされる」との回答。
ついでに、損保ジャパンと三井住友海上の保険代理店にも問合せてみましたが、同じく「テロ被害はカバーされる」という回答でした。
じゃあ、何が戦争/変乱なの?
そうなると、次に浮かぶ疑問は、
「何がテロで、何が『戦争その他の変乱』なの?」という部分です。
調べたところ、
戦争その他の変乱とは、「戦争危険」と呼ばれるもので、
具体的には下記のもののようです。
- 戦争
- 外国の武力行使
- 革命
- 政権奪取
- 内乱
- 武装反乱
- その他これらに類似の事変
↑これらが起こっている場合は、保険金はもらえません。
で、テロに関しては、これらの例外として、保険OKになっているようです。
参考:
東京海上の公式サイト
【海外旅行保険】「戦争危険免責」や「テロを補償する特約」について教えてください。
じゃあ、何なら「テロ」になるのか?
では「テロ」は、どうやって決まるんでしょうか。
以前は、テロの定義があいまいで保険でカバーされないこともあったようですが、最近は、テロの定義が決まり、テロのときは全て保険でカバーされるようになった、という経緯があったようです。
参考:
海外旅行保険用語集-121保険 テロ行為とは
↓こちらがテロの定義です。
(あくまで保険会社が考えるテロ。保険会社のサイトから)
政治的、社会的、もしくは宗教・思想的な主義・主張を有する団体・個人またはこれと連帯するものが当該主義・主張に関して行う暴力的行動
しかし、結局、
↓この3つの区別が、よくわかりません。。。
- 「内乱」←戦争危険に含まれ、保険は無効
- 「暴動」←楽天カード(三井住友海上)だけが保険無効と明記
- 「テロ」←保険でカバーされる
保険会社/保険代理店の方々の話を総合すると、結局、何が「戦争その他変乱」に該当するかは、保険会社の判断次第でハッキリ言えないようです。同じ事件だとしても、保険会社各社で判断が異なることもあるんだそうな。
なので、シンプルに言い切ってしまうと、
日本政府(外務省)が「テロ」と呼んでいたら保険はOK
と判断すればよい、ということだそうです。
(ある保険会社の人が教えてくれました)
ちなみに、今回のパリのテロで、フランス大統領が「これは戦争状態だ!」と言ったりしていますが、そういうニュースは関係ありません。日本政府の公式発表で、テロと言っているかどうかをよく見たほうがよいんだそうです。
結局、何に気をつければいいのか?
戦争だと保険は無効、でも、テロは海外旅行保険でカバーされることがわかりました。
では、我々旅行者は、海外旅行へ行く前に、何に気をつければいいのでしょうか?
結論を先に書くと、
●戦争その他変乱が起こりそうな地域には行くな
●前触れなく「戦争」認定されることはないので事前調査しろ
という感じです。
事前調査は、外務省の海外安全ホームページで可能です。
外務省のホームページでは、
4つの段階で、危険が分類されています。
- レベル1:黄色。十分注意してください
- レベル2:薄オレンジ。不要不急の渡航は止めてください
- レベル3:濃オレンジ。渡航は止めてください(渡航中止勧告)
- レベル4:赤色。退避してください。渡航は止めてください(退避勧告)
2015年11月19日現在、外務省海外安全HPから。
(レベル1は黄、2が薄オレンジ、3は濃オレンジ、4が赤)
ただし、この地図で注意したいのは、上記の危険度は、あくまで戦争が主体として考えられている、という部分です。
上の画像を見てわかるように、今回11月13日にテロがあったパリでも、11月19日現在、レベル1にもなっていません(パリでは100人以上が死亡、300人以上が負傷しました)。また、ベルギーも同じです。11月16日からベルギー当局が、ベルギー全土でのテロ脅威度を、4段階中の2から3に引き上げたのですが、やはり11月19日現在、レベル1にもなっていません。
この外務省のホームページは、テロの危険度は、あまり反映されないのかもしれません。この地図は保険が有効かどうかの判別には役立ちますが、白色の地区だからといって、安全という意味ではありません。情報の読み取り方に注意してくださいね。
まとめ
●戦争・内乱は海外旅行保険でカバーされない
●戦争危険度は、外務省海外安全HPでチェックできる
●テロなのか内乱なのかは、日本政府(外務省)の発表をチェック
●内乱の予兆があったら退避する
保険会社の説明では、
「戦争その他変乱」と認定されるのは、よっぽどのことなので、何かの事件などの前触れなく、突然、戦争認定されることは、ほぼありません、とのこと。
つまり、今まで、物騒なニュースも流れていなかった地域で、大きな事件が起きたとしても、すぐに戦争状態と認定されて保険が無効になることは、まずありません、という説明でした。
なので安心して旅行しろ、と、までは言えませんが、「明らかに危険な地域に行かない限り、海外旅行保険は有効」ということは覚えておいて損はなさそうです。
以上、クレカ付帯保険でのテロ対策について、でした。
みなさん、くれぐれも安全に、冷静に旅行されてくださいね!