東急カードClubQ(旧東急トップカード)の海外旅行保険の注意点←海外生活者の観点から
東急カードは、2017年9月に、付帯する海外旅行保険終了の話があったのですが、まだ海外旅行保険付帯のカードが残っていました。
●東急カードClubQ
●東急カードClubQ JMB 年会費1000円(税抜)
●東急カードClubQ JMB (PASMO一体型) 年会費1000円(税抜)
●東急カードClubQ JMBゴールド 年会費6000円(税抜)
要は、JMB(JALマイレージバンク)の付いていないカードが、付帯海外旅行保険が終了しただけのようです。
残った保険付帯カードは、3枚ともに「年会費有料だが、保険は利用付帯で利用付帯裏技可能」です。なので、3ヶ月以上の長期海外滞在者には便利なカードです。
このページでは、上記3枚のうち、ゴールド以外の2枚の東急カードについて解説したいと思います。
ゴールドカードについては、別記事で解説しています。↓こちらの記事でご覧ください。
Contents
まず結論
東急カードの評価について、結論(ポイント)をまとめておきます。
※東急カードClubQ JMBと、東急カードClubQ JMB (PASMO一体型)は、内容は同じなので、以下では一緒にして「東急カード」として書きます。
東急カードの良いところ
●利用付帯だが利用付帯裏技可能(3ヶ月以上の旅行でも使える)
●店舗(首都圏、札幌のみ)なら即日発行可能
東急カードの悪いところ
●年会費1000円(税抜)かかる
●ケガ病気治療費用の限度額が100万円と、少し少ない ←別カード上乗せでカバー可能
●ネット申込みだと発行まで2、3週間かかる
●単身者向け。18歳以下家族の保険はナシ
●空港ラウンジは使えない
●飛行機遅延/欠航・ロストバゲージ保険は無い
東急カードは、こんな人向け
●独身の人。もしくは、子供とは海外旅行しない人
●税抜1000円の年会費が気にならない人
●3ヶ月以上の留学、長期海外旅行をする人
東急カードの年会費
●本会員:初年度無料/2年目以降1,000円+税
●家族会員:初年度無料/2年目以降300円+税
海外旅行保険の補償限度額
保険は利用付帯で、期間は最長90日。
傷害死亡/後遺障害 最高1000万
傷害治療 100万(1つの事故につき)
疾病治療 100万(1つの疾病につき)
賠償責任 2000万(1つの事故につき)
携行品損害 1旅行20万、1年で100万
救援者費用 100万(1年でリセット)
飛行機遅延/欠航 なし
ロストバゲージ なし
(引受保険会社は損保ジャパン日本興亜)
カード付帯の海外旅行保険を選ぶとき、一番重要なのは、一番使う確率の高い、病気ケガの治療費用の補償額です。それが、東急カードでは「100万円」と少し少なめ。年会費無料カードでも200万円の補償があるカードは他にあります。
ただ、利用付帯のカードとしては治療費用100万円は悪いわけではないので、他のカードと合わせて使うには良いカードと言えます。
東急カードの保険の条件は利用付帯。保険を有効にするために交通費などのカード払いが必要
カード付帯保険の条件には二種類あります。
①自動付帯:海外へ行くと自動的に保険が有効になる
②利用付帯:海外旅行の交通費などをカード払いすると保険が有効になる
東急カードは利用付帯なので、保険を有効にさせるためにパックツアー代金や交通費などのカード支払いが必要です。一見、面倒なのですが、実は、別の部分でメリットがあります。↓これです。
利用付帯は面倒だが、裏技で3ヶ月以上の旅行でも使える
利用付帯のカードは、裏技的な使い方として、「海外へ行ってから、現地公共交通機関をカード払いをすると、その時点から保険が有効になる」という使い方ができます。つまり保険期間を自由に決められるのです。
その使い方をすると、他のカードと組み合わせることで、3ヶ月以上の海外滞在でもカード付帯保険でカバーできます。これが、この東急カードの強みです。
利用付帯裏技について、その他の利用付帯裏技OKカードなど、詳しくは、↓こちらの記事で解説しています。
東急カードに、プラスどれだけで海外旅行保険は十分か?
ハッキリ言えば、東急カード1枚の保険だけでは足りません。
足りるか足りないか、で問題となる項目は、
●疾病・傷害治療費用の額
●救援者費用の額
の2つです。その中でも治療費用は、風邪や腹痛でも使う可能性があり、一番使う確率が高いので最重要。
その治療費用で、必要額を考えてみると、大雑把な額ですが↓こんな感じになります。
●アジア 300〜500万⇒カード2,3枚
(台湾300万、香港400万、シンガポール500万)
●ヨーロッパ 400〜600万⇒カード2,3枚
●オーストラリア 400万⇒カード2枚
●アメリカ(ハワイ含む) 1000万以上⇒カード5枚
(グアム・サイパンは400万くらい)
という感じです。なので、東急カード1枚の付帯保険だけでは「アジアでも保険金が不足する心配アリ」というレベルなのです。ですので、他のカード付帯保険も使って上乗せする必要があるんですね。上乗せについては、↓次、説明します。
足りない分は、他のカード付帯保険との合算でカバー
東急カード1枚だけの付帯保険で足りないので、他の保険付きクレジットカードを持ち、保険を上乗せさせます。
海外旅行保険付きのクレジットカードを2枚以上持っていた場合は、それぞれの項目の補償限度額が合算されるのです!(ただし傷害死亡/後遺障害の項目は合算されない)
具体例で見てみましょう。東急カードはマスターカードを選び、もう1枚を、エポスカード(VISA)を選ぶとします。(2枚持つなら国際ブランドが違うカードのほうが使える店が広がるのでオススメなんです)
※東急カードは利用付帯裏技で、保険の有効期間を自由に選べるのですが、今回は、上乗せのために、海外へ行く前に交通費をカード払いしたケースを見てみます。
↓表で見ると、補償額はこんな感じに合算されます。
東急カード | エポスカード | → | 合算結果 | |
---|---|---|---|---|
保険期間 | 90日 | 90日 | → | 90日 |
条件 | 利用付帯 | 自動付帯 | ||
傷害死亡 /後遺障害 |
1000万 | 500万 | → | 1000万 |
傷害治療 費用 |
100万 | 200万 | → | 300万 |
疾病治療 費用 |
100万 | 270万 | → | 370万 |
賠償責任 | 2000万 | 2000万 | → | 4000万 |
携行品損害 | 20万 | 20万 | → | 40万 |
救援者費用 | 100万 | 100万 | → | 200万 |
※「傷害死亡/後遺障害」の項目だけは合算されず、高い金額のほうが上限になる。
↑この合算後の額なら、アジア旅行なら、一応、安心できますね。もう少し保険金があったほうが安心という人は、保険付帯カードをさらにもう一枚作っておくと、さらに上乗せになります。合算&必要な保険額に関しては、こういう感じで考えてください。
合算するカードは、別に他のカードでも構いません。年会費無料や年会費の安いカードを探しているなら、こちらの比較表から探してみてください。⇒クレジットカード海外旅行保険比較表(80種以上)
※ちなみに、合算させる目的でカードを選ぶなら、保険が自動付帯のカードのほうがラクです。
東急カードのその他の評判の良いところ
東急カードのその他の評判が良いところを見てみましょう。
東急カードはキャッシュレス診療OK
大都市限定になりますが、東急カードの付帯保険では、キャッシュレス診療が可能です。
キャッシュレス診療とは、「キャッシュレス・メディカルサービス」とか、「医療費キャッシュレスサービス」だとかの呼び名があるのですが、すべて同じです。要は、「現地の病院にかかったときに、保険会社が直接、病院に支払いをしてくれて、自分で支払いをしないで済む」というサービスです。
昔は、このサービスが無く、現地の病院では一度自分で支払いをし(立て替え払いをし)、その後、カード会社(保険会社)に領収書などと一緒に申請をする、という面倒な手続きが必要でした。その面倒な手続きが、東急カードでは不要になる、ということです。
※最近のカード付帯保険は、ほぼ9割くらいの保険付帯カードが、キャッシュレス診療可能になっています。
ただし、キャッシュレス可能なカードでも、保険会社との提携病院がない場所(たとえば田舎など)では、キャッシュレス診療は不可能で、まず自費で立替をして、それから保険金申請手続が必要です。
キャッシュレス診療の使い方のコツ
私も上海滞在時代や海外旅行で何度か使ったので、キャッシュレス診療の使い方のコツを少し書いておきます。それは3つ。
●体調が悪くなるかも、という段階で提携病院を聞いておく
●いきなり病院に行ってはダメ。カード会社に電話して病院を手配してもらうこと
●土日祝、年末年始など、カード会社が休みの日はキャッシュレス不可
いくら大都市でも、すべての病院が保険会社の提携病院であることはありません。もし飛び込みで病院に行ってしまうと、提携病院ではない場合、キャッシュレス診療サービスは使えないことになります。
なので、まずは提携病院がどこの病院なのか、を調べておく。提携病院が近くにないこともあるからです。そして、実際に病院に行きたくなったら、カード会社に電話して病院を予約してもらう。そうすれば確実にキャッシュレス診療をしてもらうことができます。
※以前は「健康なうちに提携病院を保険会社に聞いておくと安心ですよ」と読者さんにはアドバイスしていたのですが、2016年7月と8月の調査で、いくつかの保険会社で提携病院を教えてもらうのを断られました(涙)。理由はここでは割愛しますが、「本当に体調の悪いときしか提携病院を教えてもらえない」ということがあることは覚えておいてください。
そして、3つ目のポイント、「土日祝、年末年始などはキャッシュレス診療不可」について。キャッシュレス診療のためには、保険会社は「その人がカードの持ち主だ」という確認が必要です(上の図の①')。普通は、その確認は1、2時間で済みます。ですが土日祝などはカード会社が休みで確認が取れません。だからキャッシュレス不可となってしまうのです。覚えておきましょう。
店舗なら即日発行が可能
東急カードは、東急百貨店などの「TOKYU CARDカウンター」へ行けば即日発行が可能です。(免許証などの本人確認書類が必要)
ただし、TOKYU CARDカウンターがある場所は、↓これらだけ。
(カード即時発行ができる)
●東急百貨店なら
・本店(渋谷)
・東横店
・たまプラーザ店
・吉祥寺店
・札幌店
・渋谷ヒカリエShinQs
その他は、
●二子玉川ライズ
●武蔵小杉東急スクエア
●日吉東急アベニュー
●町田東急ツインズ
なので、結局は、首都圏か、札幌に行ける人じゃないと即日発行は難しいです。
あと、19:00以降の受付だと、カード受け取りが翌日以降となる、という点も注意です。(東急百貨店本店だと18:00以降で翌日受け取り)
東急カードのイマイチなところ
東急カードの短所というか、足りない部分も書いておきます。
ネット申込みだと発行まで最短10日。通常2,3週間
東急カードは、ネット申し込みだと、カード発行まで結構時間がかるのが、第一の短所。
●引落し口座がオンライン登録可の銀行ならカード到着まで10日
●オンライン登録不可の銀行ならカード到着まで2、3週間
という感じ。申込みは余裕を持って行う必要があります。
空港ラウンジは使えない
空港ラウンジが使えるのは、大体、年会費1万円以上のカードなので、東急カードでラウンジが使えないのは、仕方ないですね。
家族の保険はカバーできない(家族特約ナシ・家族カードは発行可)
東急カードの付帯保険は、あくまでカード会員のみが対象。家族の保険もカバーする「家族特約」は付いていません。(家族特約について詳しくはこちら)
ただ、東急カードでも、家族カードの発行はできるので、18歳以上の家族は、家族カードを持てば、カード会員と同じ保険をもらえます。
飛行機遅延/欠航・ロストバゲージ保険は無い
東急カードの付帯保険には、飛行機遅延/欠航・ロストバゲージ保険はありません。これらの保険も有料カードにしか付いていないものです。これらの保険は、保険金をもらうための条件も厳しいので、私は無くてもいいんじゃないかと思っています。
「でも欲しい!」という人は、↓こちらのページを御覧ください。
飛行機欠航/遅延・ロストバゲージ保険付きカード比較表(20枚以上)
東急カードの海外キャッシングはイマイチ
現地ATMで現地通貨を引き出す「海外キャッシング」は、現地の両替所よりもお得に外貨両替できるオススメの方法。ただし、東急カードで、それをやるのはイマイチなんです。なぜなら、繰上げ返済に電話代+振込手数料がかかるからです。
海外キャッシングでお得なカードは、↓こちらでしっかり解説しています。
国際キャッシュカード徹底比較
ショッピング保険ナシ
東急カードには、カード購入した商品を一定期間保証してくれる「ショッピング保険」は、残念ながらゴールドカードにしか、付いていません。
まとめ
ポイントをまとめると、東急カードは、↓こんなカードです。
●独身の人。もしくは、子供とは海外旅行しない人
●税抜1000円の年会費が気にならない人
●3ヶ月以上の留学、長期海外旅行をする人
利用の注意点
付帯保険は1枚だけでは不十分。必ず他カードで上乗せを。
海外キャッシングは別のカードのほうがいい
空港ラウンジは使えない
飛行機遅延/欠航・ロストバゲージ保険は無い
という感じです。
他のカードと合わせて使うには、悪くないカードと言えます。上手に使ってみてくださいね。