JAカード海外旅行保険の注意点←海外生活者の観点から
JAカードはJA直売所なら5%割引になるなど、JAをよく利用する人にはお得なカード。海外旅行保険もなかなか良いので、海外旅行でも役立ちます。ただし、JAカード一枚だけでは保険不足なので要注意。
このページでは、JAカードの海外旅行での注意点と活用方法を解説します。
Contents
まず結論
JAカードの海外旅行での評価について、結論(ポイント)をまとめておきます。
JAカードの良いところ
海外旅行保険が良い(疾病治療費上限200万,傷害治療費上限200万、ただし比較表では10位以下)
保険が自動付帯(海外へ行けば自動で保険が有効に)
キャッシュレス診療OK
年12万円利用など年会費が無料になる条件が3つある
ショッピング保険付(=90日間、買った品の破損/盗難を補償)
JAカードのダメなところ
年会費1,250円(税別)がかかる
一枚だけでは海外旅行保険は不足
海外キャッシングは良くない
子供の保険はカバーできない(家族カードは発行可能。18歳以上はカバーできる)
90日以上の旅行には使えない
飛行機遅延/欠航・ロストバゲージ保険は無い
JAカードは、こんな人向け
●JA直売店が近くにあり、年会費1250円の元が取れる人
●年12万円の買物利用などJAカードの年会費無料条件を満たせる人
●単身者、子供がいない夫婦、子供と一緒に海外へ行く予定が無い人
●短期旅行者(90日以内)
●カード付帯保険を上乗せしたい人
下にそれぞれ解説していきます!
JAカードに付帯の海外旅行保険の補償限度額
保険は自動付帯で、期間は最長90日。
傷害死亡/後遺障害 2000万
傷害治療 200万(1回のケガにつき)
疾病治療 200万(1回の病気につき)
賠償責任 2000万(1回の事故につき)
携行品損害 20万 (1年でリセット)
救援者費用 200万(1年でリセット)
飛行機遅延/欠航 なし
ロストバゲージ なし
(引受保険会社は、東京海上日動)
カード付帯の海外旅行保険を選ぶとき、一番重要なのは、一番使う確率の高い、病気ケガの治療費用の補償額です。それが、JAカードでは、ケガ・病気治療費ともに200万円。これは年会費5000円以下の一般カードではトップクラスです。
JAカードはニコスカード系のカードです。ニコスカードは2010年7月から海外旅行保険が改悪になりました。でも、JAカードだけは改悪されず、海外保険の内容が良いまま残りました。その意味では、お得なカードです。
ただし、海外の医療費事情を考えるとこのJAカードだけで足りるとは言えません。カード付帯保険は、カードを複数枚持っていると限度額を上乗せできるので、他のカードと合わせて使うことをおすすめします。(下で解説します)
JAカードの海外旅行保険は自動付帯
カード付帯保険の条件には二種類あります。
①自動付帯:海外へ行くと自動的に保険が有効になる
②利用付帯:海外旅行の交通費などをカード払いすると保険が有効になる
JAカードは自動付帯なので、海外に行けば自動的に保険が有効になります。
JAカードに、プラスどれだけで海外旅行保険は十分か?
ハッキリ言えば、JAカード1枚の保険だけでは足りません。
足りるか足りないか、で問題となる項目は、
●疾病・傷害治療費用の額
●救援者費用の額
の2つです。その中でも疾病・傷害治療費用は、風邪や腹痛でも使う可能性があり、一番使う確率が高いので最重要。
その治療費用で、必要額を考えてみると、大雑把な額ですが↓こんな感じになります。
●アジア 300〜500万⇒カード2,3枚
(台湾300万、香港400万、シンガポール500万)
●ヨーロッパ 400〜600万⇒カード2,3枚
●オーストラリア 400万⇒カード2枚
●アメリカ(ハワイ含む) 1000万以上⇒カード5枚
(グアム・サイパンは400万くらい)
という感じです。なので、JAカード1枚の付帯保険だけでは「アジアでも保険金が不足する心配アリ」というレベルです。ですので、他のカード付帯保険も使って上乗せする必要があるんですね。上乗せについては、↓次に、説明します。
足りない分は、他のカード付帯保険との合算でカバー
JAカード1枚だけの付帯保険で足りないので、他の保険付きクレジットカードを持ち、保険を上乗せさせます。
海外旅行保険付きのクレジットカードを2枚以上持っていた場合は、それぞれの項目の補償限度額が合算されるのです!(ただし傷害死亡/後遺障害の項目は合算されない)
具体例で見てみましょう。JAカード(マスター)に、比較表1位のエポスカード(VISA)で上乗せするとします。
↓表で見ると、補償額はこんな感じに合算されます。
JAカード |
エポスカード |
→ | 合算結果 | |
---|---|---|---|---|
保険期間 | 90日 | 90日 | → | 90日 |
条件 | 自動付帯 | 自動付帯 | ||
傷害死亡 /後遺障害 |
2000万 | 500万 | → | 2000万 |
傷害治療 費用 |
200万 | 200万 | → | 400万 |
疾病治療 費用 |
200万 | 270万 | → | 470万 |
賠償責任 | 2000万 | 2000万 | → | 4000万 |
携行品損害 | 20万 | 20万 | → | 40万 |
救援者費用 | 200万 | 100万 | → | 300万 |
エポスカード詳細 |
※「傷害死亡/後遺障害」の項目だけは合算されず、高い金額のほうが上限になる。
↑この合算後の額なら、アジア旅行なら、一応、安心できますね。もう少し保険金があったほうが安心という人は、保険付帯カードをさらにもう一枚作っておくと、さらに上乗せになります。合算&必要な保険額に関しては、↑こういう感じで考えてください。
ちなみに、合算させる目的でカードを選ぶなら、保険が自動付帯のカードのほうが余計な手続き不要なのでラクです。
さらに合算(上乗せ)に関しては、JAカードでは、国際ブランドをVISAとマスターから選べることもメリットです。海外旅行ではクレジットカードを2枚以上準備し、2枚の国際ブランドを別のものにしておくのがオススメです。なぜなら、海外ではVISAしか使えない店や、マスターしか使えない店、などがあるからです。2枚ともVISAだと、両方カード利用できない可能性も出てくるからです。
年会費無料や年会費の安いカードを探しているなら、こちらの比較表から探してみてください。⇒クレジットカード海外旅行保険比較表(80種以上)
JAカードの評判の良い特典
JAカードの、その他の評判が良い特典を見てみましょう。
JAカードを年会費無料にする条件3つ
JAカードは、初年度は年会費無料です。しかも、↓下記の3つの条件のどれかに該当すれば、次年度も年会費無料。さらに家族カードの年会費400円も無料になります。(ただしゴールドカードは年会費無料の対象外)
(1) 年間12万円以上のカードショッピング利用
(2) 電気料金のJAカード支払い
(3) 携帯電話料金のJAカード支払い
JAカードはキャッシュレス診療OK
大都市限定になりますが、 JAカードの付帯保険では、キャッシュレス診療が可能です。
キャッシュレス診療とは、「キャッシュレス・メディカルサービス」とか、「医療費キャッシュレスサービス」だとかの呼び名があるのですが、すべて同じです。要は、「現地の病院にかかったときに、保険会社が直接、病院に支払いをしてくれて、自分で支払いをしないで済む」というサービスです。
昔は、このサービスが無く、現地の病院では一度自分で支払いをし(立て替え払いをし)、その後、カード会社(保険会社)に領収書などと一緒に申請をする、という面倒な手続きが必要でした。その面倒な手続きが、JAカードでは不要になる、ということです。
※最近のカード付帯保険は、ほぼ9割くらいの保険付帯カードが、キャッシュレス診療可能になっています。
ただし、キャッシュレス可能なカードでも、保険会社との提携病院がない場所(たとえば田舎など)では、キャッシュレス診療は不可能で、まず自費で立替をして、それから保険金申請手続が必要です。
キャッシュレス診療の使い方のコツ
私も上海滞在時代や海外旅行で何度か使ったので、キャッシュレス診療の使い方のコツを少し書いておきます。それは2つ。
●体調が悪くなるかも、という段階で提携病院を聞いておく
●いきなり病院に行ってはダメ。カード会社に電話して病院を手配してもらうこと
いくら大都市でも、すべての病院が保険会社の提携病院であることはありません。もし飛び込みで病院に行ってしまうと、提携病院ではない場合、キャッシュレス診療サービスは使えないことになります。
なので、まずは提携病院がどこの病院なのか、を調べておく。提携病院が近くにないこともあるからです。そして、実際に病院に行きたくなったら、カード会社に電話して病院を予約してもらう。そうすれば確実にキャッシュレス診療をしてもらうことができます。
※以前は「健康なうちに提携病院を保険会社に聞いておくと安心ですよ」と読者さんにはアドバイスしていたのですが、2016年7月と8月の調査で、いくつかの保険会社で提携病院を教えてもらうのを断られました(涙)。理由はここでは割愛しますが、「本当に体調の悪いときしか提携病院を教えてもらえない」ということがあることは覚えておいてください。
JAカードはショッピング保険付き(年間100万円まで)
JAカードには、「ショッピングパートナー保険サービス」というショッピング保険(買物保険)が付いています。保険金の限度額は年間100万円まで。JAカードで買った商品を、購入日から90日間、盗難・破損などの偶然な事故によって被った損害を補償してくれます(自己負担3000円。PC、スマホなどは対象外)。
たとえば、「買ったばかりのカメラを旅先で落としてこわしてしまった!」などの場合、保険金がもらえます。
JAカードのイマイチなところ
JAカードの短所というか、足りない部分も書いておきます。
年会費1,250円(税別)がかかる
条件を満たせば無料になるとはいえ、「年会費がかかる」というのは、一つのデメリットですね。保険付帯で年会費無料のカードも何枚かあるので、年会費を重視する人は↓こちらの記事も見てみてください。
空港ラウンジは使えない
JAカードは、年会費の安い一般カードなので、残念ながら空港ラウンジは使えません。空港ラウンジが使いたい人は、年会費1万円以上のカードに申し込んでください。ちなみに、JAカードにはプライオリティパスも付いていません。
子供の保険はカバーできない(家族特約ナシ・家族カードは発行可)
JAカードの付帯保険は、あくまでカード会員のみが対象。家族の保険もカバーする「家族特約」は付いていません。ですので18歳未満の子供がいる場合は、有料保険に加入するか、家族特約つきカードを別に作る必要があります。(家族特約について詳しくはこちら)
ただし、JAカードは、家族カードを年400円で発行できるので、18歳以上の家族は、家族カードを作れば、カード会員と同じ保険をもらえます。
飛行機遅延/欠航・ロストバゲージ保険は無い
JAカードの付帯保険には、飛行機遅延/欠航・ロストバゲージ保険はありません。これらの保険も有料カードにしか付いていないものです。これらの保険は、保険金をもらうための条件も厳しいので、私は無くてもいいんじゃないかと思っています。
「でも欲しい!」という人は、↓こちらのページを御覧ください。
飛行機欠航/遅延・ロストバゲージ保険付きカード比較表(20枚以上)
JAカードでの海外キャッシングはイマイチ
現地ATMで現地通貨を引き出す「海外キャッシング」は、現地の両替所よりもお得に外貨両替できるオススメの方法。ただし、UCカードで、それをやるのはおすすめできません。おすすめできない理由は2つ。①繰上げ返済に電話代+振込手数料がかかる、②海外ATM引き出し後の明細反映が遅い、という理由からです。
海外キャッシングでお得なカードは、年会費無料のものがあるので、別に作るべきです。↓こちらでしっかり解説しています。
国際キャッシュカード徹底比較
まとめ
ポイントをまとめると、JAカードは、↓こんなカードです。
●JA直売店が近くにあり、年会費1250円の元が取れる人
●年12万円の買物利用などJAカードの年会費無料条件を満たせる人
●単身者、子供がいない夫婦、子供と一緒に海外へ行く予定が無い人
●海外で買物やキャッシングをあまりしない人
●短期旅行者(90日以内)
●カード付帯保険を上乗せしたい人
利用の注意点
一枚だけでは海外旅行保険は不足
海外キャッシングは別のカードがおすすめ
家族の保険はカバーできない(家族カードは発行可能)
90日以上の旅行には使えない
飛行機遅延/欠航・ロストバゲージ保険は無い
という感じです。
JAカードは年会費が負担にならない人にとっては、良いカードです。海外旅行で使うときは、保険を上乗せして上手に使ってくださいね。