クレジットカード海外旅行保険に他の保険を上乗せ(合算)する方法と、合算時の使い方の注意←海外生活者の観点から
このページでは、クレジットカード付帯の海外旅行保険に、さらに保険を追加して、保険金限度額を上乗せする方法を解説したいと思います。
簡単に言うと、保険付帯カードを2枚持っていた場合、保険金の限度額は、↓このような感じで合算されます。
カードA |
カードB |
→ | 合算結果 | |
---|---|---|---|---|
事故死/後遺症 | 500万 | 2000万 | 多い方 →→→ |
2000万 |
ケガ治療費用 | 200万 | 200万 | 上乗せ →→→ |
400万 |
疾病治療費用 | 270万 | 200万 | 上乗せ →→→ |
470万 |
賠償費用 | 2000万 | 2000万 | 上乗せ →→→ |
4000万 |
携行品損害 | 20万 | 20万 | 上乗せ →→→ |
40万 |
救援者費用 | 100万 | 200万 | 上乗せ →→→ |
300万 |
要は、「死亡保険の項目以外は、保険金限度額は上乗せされる」ということです。一番よく使う、治療費用が上乗せされるのは助かりますよね。
↓3枚持っていた場合も、見てみましょう。
カードA |
カードB |
カードC |
→ | 合算結果 | |
---|---|---|---|---|---|
事故死/後遺症 | 500万 | 2000万 | 2000万 | → | 2000万 |
ケガ治療費用 | 200万 | 200万 | 200万 | → | 600万 |
疾病治療費用 | 270万 | 200万 | 200万 | → | 670万 |
賠償責任 | 2000万 | 2000万 | 2000万 | → | 6000万 |
携行品損害 | 20万 | 20万 | 20万 | → | 60万 |
救援者費用 | 100万 | 200万 | 200万 | → | 500万 |
↑この保険金額の上乗せは、追加カードが3枚、4枚となっても、同じように加算されていきます(ただ、カード管理のことを考えると、現実的には、5〜6枚以内が限度でしょう)。また、カード付帯保険に有料保険を上乗せすることも可能です。
このページでは、カード付帯保険の上乗せと、有料保険の上乗せの両方のメリット・デメリットを解説します。さらに、上乗せ時の使い方の注意なども書いておいきます。
Contents
- 1 カード付帯保険の合算と、有料保険の上乗せ、メリットとデメリット
- 2 カード付帯保険での上乗せのメリット
- 3 カード付帯保険併用での上乗せの限界
- 4 カード選びのポイント:上乗せカードは、保険が「自動付帯」がオススメ
- 5 [質問]同じ会社のカードは保険が合算されないのですか?
- 6 管理方法:複数枚あるときの保険金請求はどうなるか?
- 7 キャッシュレス診療も、上乗せ保険で対応してもらえるのか?⇒OK
- 8 時間があれば、保険デスクに事前に電話してみる
- 9 オリコなどキャッシュレス不可のカードを上乗せ保険として併用した場合
- 10 有料保険の上乗せのメリット
- 11 有料保険併用での上乗せ具体例
- 12 カード付帯保険&有料保険、両方を上乗せすることも可能
- 13 まとめ
カード付帯保険の合算と、有料保険の上乗せ、メリットとデメリット
カード付帯保険への上乗せは、2つの方法があります。
- 追加の保険付帯カードで上乗せする
- 有料保険で上乗せする
↑2つとも、要は、複数の保険の併用(合算)です。「別契約の保険が2つあるなら、2つの合計になるよ」というだけの話です。
カード保険で上乗せ、有料保険で上乗せ、どちらの上乗せ方法も、メリット・デメリットがあります。上乗せ保険に何を求めているかによって、向き不向きがあります。それぞれの長所短所は↓こんな感じ。
カード付帯保険と有料保険の比較
カード付帯保険 | 有料保険 | |
---|---|---|
申込 | カード発行まで時間がかかる | すぐ使える。最短、申込当日から使える |
カード発行に審査がある | 基本、誰でも加入可能 | |
カード発行後は、旅行ごとの手続き不要 | 旅行ごとに毎回申し込みが必要 | |
回数 | 日本帰国でリセットされ何度も使える | 1回のみ |
費用 | 年会費無料カードなら完全に無料 | 3日で約千円。1ヶ月約1万円。掛け捨て |
家族の保険も無料/安い(家族カードや家族特約の利用) | 人数が増えれば保険料も増える | |
内容 | 保険内容はカードごとに違う ⇒カード選びが重要 | 保険内容を自由に選べる |
保険期間 | 基本3ヶ月。利用付帯カードを使えば、3ヶ月ごとに継ぎ足し可能 | 1日〜数年まで |
長所 | 何枚でも上乗せできる | 補償額を「無制限」まで高くできる |
短所 | 病気死亡は保険対象外 | |
携行品損害は1事故につき3000円〜5000円の自己負担額が必要 | ||
向く人 | ●節約したい人 | ●旅行まで時間がない人 |
●短期の海外旅行を数多く行く人 | ●1年以上の海外滞在の人 | |
●アジアなど、医療費がそこまで高くない国へ行く人 | ●医療費が高額なアメリカなどへ行く人 | |
●医療レベルの高い地域へ行く人 | ●医療レベルの低い地域へ行く人(=医療搬送の可能性が高い人) | |
●脳や心臓系の病気の可能性がある人(=高額医療の可能性がある人) |
表の内容を、↓下でくわしく解説していきます。
カード付帯保険での上乗せのメリット
カード付帯保険の一番のメリットは、「お金がかからないこと」です。保険付帯カードは、年会費無料のものもありますし、もうすでに年会費を支払っているカードを持っている人もいると思います。そういう場合は、実際の負担はゼロです。
カード付帯保険のその他のメリットとしては、
・帰国すればリセットされ、また次の海外旅行で使える
・複数枚持ってれば、それだけ補償額は上乗せされる(死亡/後遺障害補償以外)
・カードさえ作ってしまえば、毎回の海外旅行で手続き不要(自動付帯の場合)
というのがあります。
これだけメリットがあるので、カード付帯保険は絶対に使ったほうがいいです。しかし、カード付帯保険にも限界があります。次で説明します。
カード付帯保険併用での上乗せの限界
上乗せ保険を調べようとして、このページを見に来た方なら、カード付帯保険への不安として、
治療費用の限度額が少なくて不安
救援者費用が少なくて不安
と思っている方が多いと思います。
実際のところ、カード付帯保険で上乗せしたときの限界は、治療費用も救援者費用も、それぞれ1000万円くらいが限界。その限界まで準備するには、保険付帯カードを5〜6枚準備することが必要になります。
その限界を考えると、治療費用や救援者費用が2000万円以上必要になる可能性がある国、例えば、
・アメリカ合衆国
・日本や他国への医療搬送が行われる可能性が高い国
などは、カード付帯保険ではカバーしきれません。有料保険で上乗せするしかありません。
クレジットカードを複数持つ、と言っても、実質的な限界は5〜6枚じゃないでしょうか。治療費用と救援者費用で考えると、良いカードでも一枚の補償額は200万〜300万円。そうすると、カード付帯保険でカバーできる治療費用や救援者費用の限界は、1000万〜1800万、という計算になります。
自分が必要と考える補償額がいくらなのか、ということを考えて、カード付帯保険だけで済ませるか、有料保険を購入するか、を選択するようにしてください。
カード選びのポイント:上乗せカードは、保険が「自動付帯」がオススメ
上乗せするカードを選ぶときは、保険が「自動付帯」のものを選ぶことを、おすすめします。簡単に説明すると、保険付帯カードには2種類あり、保険が「自動付帯」のものと、「利用付帯」のものがあるのです。自動付帯と利用付帯では、↓こういう違いがあります。
- 自動付帯は、海外旅行へ行くとき、何もせずに付帯保険が自動的に有効になります。
- 利用付帯は、海外旅行のツアー代金や、空港までの公共交通機関、飛行機代、などを、そのカードで支払いしたときのみ、付帯保険が有効になります。
※別記事でもまとめています。⇒クレジットカード海外保険の自動付帯と利用付帯
ですので、付帯保険を有効にするのに、いちいち支払いが必要ではない、自動付帯カードが、上乗せ保険としては便利なのです。保険が利用付帯のカードは少ないのですが、楽天カードのように人気カードも利用付帯だったりするので、少し注意が必要です。
このサイトのカード比較表では、自動付帯と利用付帯の区別も掲載しているので、↓カード選びの参考にしてみてください。
[質問]同じ会社のカードは保険が合算されないのですか?
ご質問をいただきました。
結論から言うと、↑これ、ガセネタなので、ほぼ気にしなくて良いです。
私も、かなり、その噂に振り回されました(涙)。複数のカード会社に確認したところ、その情報は間違いだ、ということが判明しました。
99%以上のほとんど全てのカードで、付帯保険は上乗せされるので、ご安心ください。
保険金限度額を合算できないのは、1枚のクレジットカードで、VISAとマスター両方が発行できる、「デュアルカード」や「デュアルスタイル」と呼ばれるものです。それらは、本来は1枚のカードで、VISAとマスター両方使いたい人のために2枚発行するが、明細発行や銀行引き落としは、1枚のカードとして一緒に行う、というものです。
たとえば、「DCジザイル」というカードで、VISAのものと、マスターのもの、2枚作るのは、デュアルスタイルになります。でも、明細は一つです。デュアルカード、デュアルスタイルでは、カードは2枚なのですが、カード契約としては1枚なわけです。ですので、付帯保険も上乗せされない、ということです。
リクルートカードのように、VISA/マスターはMUFGカード発行、JCBはJCBカード発行、と、発行会社が違っていて、2つが別契約になるカードもあります。その場合は、デュアルカードではないため、VISAとJCBや、マスターとJCBという組み合わせでカードを2枚持った場合は、保険の合算が可能です。
JCBやVISA、マスターなどを「国際ブランド」と呼ぶのですが、国際ブランドも保険の合算の可否とは関係ありません。同じでも違っていても、ちゃんと合算されます。
そして、引受保険会社も合算の可否とは関係ないです。要は、「保険会社とカード会社はカードごとに保険契約をしている。なので、保険付帯カードが2枚あり、保険会社が同じでも、ただ単に別々の保険契約が2つ、という扱いになるだけ」ということです。それなので、上乗せされるわけです。
管理方法:複数枚あるときの保険金請求はどうなるか?
保険付帯カードが複数枚あると、保険金請求が大変になるのでは?と心配になる方もいるかもしれませんが、それは心配無用です。
多くの場合、1枚のカードへの保険金請求で済んでしまうので手続きは単純です。
1枚のカード付帯保険の保険金限度額でカバーできる場合、その1枚の保険デスクに連絡して、保険金を請求するだけでOK。それで手続きは終わります。
実際、私が、盗難に遭って保険金請求をしたときは、1枚のカードに保険金請求をしただけで終わりました。そのときは、その保険金請求書の書面に、「他のカード付帯保険もありますか?」という欄があり、そこにカード番号などを記入しただけです。
1枚のカードだけでは、保険金が不足した場合は、もう1枚のカードのほうに、自分で連絡しなければならない場合もあります。そういう指示は、保険デスクに相談した時点で指示してくれるので、そんなに心配する必要はないと思います。
キャッシュレス診療も、上乗せ保険で対応してもらえるのか?⇒OK
病院にかかって、キャッシュレス診療をしてもらう場合でも、2枚以上カードがあっても、ちゃんと上乗せしてもらえます。
こちらのほうが起こる可能性が高い話なので、詳しく別記事にまとめています。
↓こちらです。
時間があれば、保険デスクに事前に電話してみる
あと、もし時間に余裕があったなら、実際に病院が必要になる前に、一度、保険デスクに電話してみる、というのも良いと思います。
「不安だったので、手続きを確認したくて」と言えば、丁寧に教えてくれるはずです。特に、提携病院が少なさそうな田舎の地域に行く場合、その土地に行く前に、提携病院の場所を聞いておき、その情報も含めて移動のプランを立てると、安心な旅行ができます。
私なんかは、結構すぐ、保険デスクにも電話しちゃいますし、保険以外にも、カードには海外サポートデスクがあるので、そちらに電話して、現地情報を教えてもらったりします。せっかく加入したカードなので、付帯サービスは、しっかり使うといいと思います。
オリコなどキャッシュレス不可のカードを上乗せ保険として併用した場合
オリコカードなど、キャッシュレス診療不可のカードを上乗せに使った場合は、少し注意が必要です。上乗せ分は、キャッシュレス診療を受けられないからです。例えば、↓このように2枚を持っていて、病気で病院にかかったとします。
●エポスカード 疾病治療費用270万円(キャッシュレスあり)
●オリコiB 疾病治療費用200万円(キャッシュレスなし)
270万円までの治療はキャッシュレス診療が受けられますが、270万円以上かかる場合は、不足分を一旦、現地で支払う必要があります。でも、ご安心を。この場合、現金を持ってないと治療してもらえない、ということではありません。
最近では、カード払い可能の病院が増えています。なので、不足分をカード払いすればいいのです。現地でカード払いをしておいて、保険金請求をしておき、1,2ヶ月後のカード利用額の引落しのときには保険金を使って支払う、というふうにすれば、問題ありません。
オリコカードは保険内容は良いのですが、キャッシュレス不可なので迷っていた、という方は、この方法を覚えておいてください。必ずカード支払いOKの病院を紹介してもらうことと、カード利用限度額を増額してもらっておくことが必須です。
有料保険の上乗せのメリット
次に、有料保険を具体的に見てみましょう。
有料保険のメリットとしては、↓こういうものがあります。
・最短、申込当日から使える。
・補償額を高くできる。治療費用や救援者費用で2000万円以上は、有料保険にすべき。
・バラ掛け保険を選べば、必要な補償だけ掛けられる。
まず、有料保険は申し込み当日から使えます。空港でも売っているくらいですからね。旅行出発まで時間がない場合は、有料保険を選ぶしかないことになります。
次に、治療費用や救援者費用で2000万円以上は有料保険にすべき、という理由は、上のカード付帯保険での上乗せの限界のところで解説しました。医療費の高いアメリカや、医療水準の高くない地域に行く場合は、有料保険が必須です。
そして、最後の点。有料保険で、最重要ポイントは、「バラ掛け」です。バラ掛けは、保険会社によって呼び名が、フリープラン、カスタマイズプラン、とも呼ばれます。
上乗せするための有料保険は、バラ掛け可能なものが絶対おすすめです。なぜなら、不要な項目を外すことができるので、そのぶん保険料を節約できるからです。
有料保険は、現在、ジェイアイ、損保ジャパン日本興亜、富士火災、AIUの4社が、バラ掛け保険を取り扱っています。単刀直入に言うと、料金・内容から見て、ジェイアイのtabihoという保険がオススメです。
※有料保険の比較は、バラ掛けとセット保険の価格比較などを含め、、詳しくは、こちらの記事で解説しています。⇒海外旅行保険フリープラン(バラ掛け)比較ランキング
有料保険併用での上乗せ具体例
ジェイアイのtabihoで、実際に上乗せしたケースを考えてみましょう。
tabihoは、治療費用と救援者費用が一緒にの項目になっている「治療・救援費用」という項目になっています(表中の*マーク)。「治療・救援費用」の補償額を最大の1億円、死亡補償を1000万円かけたとします。(死亡補償は、疾病死亡だけを掛けることはできないので、傷害死亡/後遺障害も同額をかけることになります)
有料保険を上乗せした場合 | ||||
---|---|---|---|---|
カードA | 有料保険 (tabiho) |
→ | 合算結果 | |
傷害死亡/後遺障害 | 500万 | 1000万 | 多い方 →→→ |
1000万 |
疾病死亡 | なし | 1000万 | 多い方 →→→ |
1000万 |
傷害治療費用 | 200万 | 1億* | 上乗せ →→→ |
1億 200万* |
疾病治療費用 | 270万 | 上乗せ →→→ |
1億 270万* |
|
救援者費用 | 100万 | 上乗せ →→→ |
1億 100万* |
|
賠償責任 | 2000万 | なし | 上乗せ →→→ |
2000万 |
携行品損害 | 20万 | なし | 上乗せ →→→ |
20万 |
↑上記のジェイアイのtabihoの条件(死亡1千万、治療・救援費用1億)で、気になる保険料は、
ハワイ1週間で、2,210円
ハワイ2週間で、4,090円
台湾4日間で、1,190円
台湾1週間で、2,130円
台湾2週間で、3,460円
となっています。(2016年6月調査)
⇒ジェイアイtabiho公式サイト
意外と安いですよね。これは、やはりジェイアイさんの努力の賜物だと思います。1億の補償額が、この値段なら、十分に安いと、私は思います。
ちなみに、その他のバラがけ保険だと、富士火災やAIUは、ほぼ2倍の保険料となります。(損保ジャパンoff!は、ジェイアイと同じくらい安いのですが、救援者費用の最高が2千万と低いのが難点です)
カード付帯保険&有料保険、両方を上乗せすることも可能
もちろんですが、カード付帯保険&有料保険、両方を上乗せすることも可能です。↓このような感じで上乗せされます。「鉄壁の守り」という感じですね(笑)。
有料保険とカード保険、両方を上乗せした場合 | |||||
---|---|---|---|---|---|
カードA | カードB | 有料保険 (tabiho) |
→ | 合算結果 | |
傷害死亡/後遺障害 | 500万 | 2000万 | 1000万 | → | 2000万 |
疾病死亡 | なし | なし | 1000万 | → | 1000万 |
傷害治療費用 | 200万 | 200万 | 1億* | → | 1億 400万* |
疾病治療費用 | 270万 | 200万 | → | 1億 470万* |
|
救援者費用 | 100万 | 200万 | → | 1億 300万* |
|
賠償責任 | 2000万 | 2000万 | なし | → | 4000万 |
携行品損害 | 20万 | 20万 | なし | → | 40万 |
まとめ
目的によって、カード付帯保険での上乗せ or 有料保険での上乗せ を使い分けるべき。
- カード付帯保険の上乗せは、節約重視の人向け。アジア圏など、医療費があまり高くなく、ある程度の医療水準がある国へ行く人に、おすすめ。
- 有料保険の上乗せは、アメリカや、医療水準が低く医療搬送の確率が高い国へ行く人向け。